明らかに取り締まりをやっているのに「一時停止」で捕まるのは何故?
皆さんは「とまれ」の標識のある場所を通るとき、どのようにしているでしょうか。
ここで車を一時停止させないと、道路交通法違反となります。一時停止の取締件数はスピード違反に次ぐ第二位ということなので、これで捕まる方はかなり大勢いるということです。
警察官が隠れて見ているときもあります。いきなり笛を吹かれて止められると「ズルいぞ!」って文句のひとつも言いたくなりますが、ちゃんと「一時停止」しなければならないと法律で決まっているので、しょうがないです。
ちょっと不思議なのは、警察官がそこで取り締まりをやっていることがわかっているのに捕まる方もいるということ。
明らかに警察官がいる、止まれの標識も見える。
じろじろ見られていることを感じつつ緊張しながらそこを通過。「大丈夫だったかな?」なんてドキドキしていると「ピピー」って笛を吹かれて停止させられる。
自分ではしっかり一時停止したと思っているのですが、そうではなかったということですね。
こんなとき「私は止まりました」と抗議すると思うのですが、警察官は「止まる位置が違う」とか「タイヤが動いていた」など認めてくれないことがほとんどです。
これはドライバーが思う一時停止と警察官が思う一時停止が違うということです。
「止まれ」のルールについて確認し、この法律の正しさやちょっとおかしなところについても考えてみようと思います。
法律で決められている「とまれ」の方法は?
「止まれ」に関する交通ルールを確認してみます。
車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。
この場合において、当該車両等は(第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか)交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。
止まれの標識がある場所では一時停止をし、その後交差道路の車の進行を邪魔しないように行きなさいということですね。
この法律に関してドライバーが注意するポイントは二つです。
まず一つ目はきちんと車を一時停止させるということです。停止とは、車を動かなくさせること、タイヤの回転を止めることです。
交通ルールには速度についていろいろな表現があります。例えば「徐行」という速度は単に「ゆっくり走る」ということではなく、車がすぐに停止できる速度で進行することをいい、具体的なスピードは10キロ以下と言われています。
タイヤがゆっくりでも回転している状態は徐行であり、一時停止というのは徐行ではない状態、タイヤの回転が止まり車が完全に停止することになります。
警察官がいう「タイヤの回転が止まっていない」というのはこれですね。止まれの場所では確実にタイヤの回転を止める。赤信号で止まるような感じです。
ちなみに何秒止まらなければいけないという縛りはなく、とにかく完全停止することが大切です。
徐行も完全停止もそれほど変わらない気がしますが、法律でいえばここまでやらないとダメということなのです。
ふたつ目に注意するのは、決められた場所までに車を停止させるということです。
タイヤの回転が止まるならどこで止まってもいいというわけではなく、ここまでに停止しなければダメだ!というのが決まっています。
それは停止線の直前です。停止線のない場合は交差点の手前までになど細かいルールはありますが、たいていは停止線があるのでそこになります。
間違いやすいのは停止線に合わせるのは車体の先端、タイヤではありません。
停止線を超えるのは違反で、停止線の先でどんなにしっかり一時停止してもダメということです。
車を完全に停止させること。位置は停止線の直前で。この二つのポイントをクリアすれば、一時停止に関して取り締まりを受けることはないと思います。
あとは交差道路の安全確認をして出ていくだけですね。
というか停止の仕方がどうこうよりも、交差道路をちゃんと確認することがいちばん大事だと思うのですが・・。
正直ここまで「止まる」のは馬鹿らしいが・・。
「止まれ」の通過方法について確認してみました。
普段の運転でタイヤの回転が止まるまで完全停止しているか、いつも停止線の直前で停止しているかと振り返ってみると、私も含めて多くのドライバーが常にそこまでやっていないのじゃないかな~と思います。
近所にあるいつもはスイスイ車が流れる一時停止の交差点。ある朝そこに警察官がひとり立っているだけで「事故でもあったの?」と思うほど渋滞します。
皆さんこのときはきっちり一時停止するようで、普段ほとんどの車は法令どおりきっちり一時停止していないのでしょうね。
人も車も絶対来ない!ということが明らかにわかる見通しが交差点でも一時停止しなければならないというのはちょっと面倒でもありますし、停止することが馬鹿らしく思ってしまうのが私たち人間でございます。
また「停止線で止まっても交差道路が確認できない」場所も多く、そんなときはついつい先に進んでしまうものです。
このように、停止線できっちり停止してもメリットをほぼ感じないことが、法律のとおり一時停止しないドライバーが多くなる理由なのかもしれません。
ドライバーから見て「使えない位置」にある停止線
ただ惜しいのは、停止線が横断歩道で人とぶつからないギリギリの位置とか交差道路の自転車とぶつからないギリギリの位置にひいてあることはほぼなく、どうしても余裕を持たせてそこから数メートル手前に引いてあることが多いのですね。
ところで、停止線は意外と「考えて」ひかれているのはご存じでしょうか。
例えば横断歩道がある場所ではその手前に引いてあります。それ以上進んでしまったら歩行者とぶつかるかもしれないので当たり前ですね。
交差点では、交差道路の車とぶつからない位置に停止線がひかれています。
また交差道路に歩道や路側帯がある場合には、そこを通行する歩行者や自転車の通行を妨げない位置にあります。
このような場所で停止線を無視して交差道路の車を確認できる位置まで進んでしまうと、その手前を走る自転車などとぶつかってしまう可能性があります。
停止線はそこまでに停止すれば周りの交通を絶対に邪魔しないという安全な位置にひかれているのです。だからとりあえずそこで止まってまずは自転車や歩行者、次に交差道路の車はいないかな~という順番で安全確認していけば、交通事故は防げるという実はスゴイ線なのです。
だからドライバーから見ると現実にはちょっと手前すぎる「使えない位置」にあり、ちょっとくらい超えないと安全確認できないことになってしまっています。
もし停止線が、この先一センチでも進んだら危ないぞ!という位置に引いてあったら、もっともっと停止線に敬意を抱くドライバーが増えるのかもしれませんね。
まあしかし、安全のことを考えて多少手前に引くのは、仕方ないことでしょう。
日本の文化は「yield」を受け入れられるか?
「YIELD(イールド)」という標識が使われている国があります。
「ゆずれ」という意味で、この標識がある場所では交差する優先道路から車が来たときだけ進路を譲りなさいねというものです。
その時、徐行するのかそれとも一時停止するか、どこで待つかといったことまで細かく決めず、その場の判断はドライバー任せるということですね。
これらの国は馬車が使われていた時代が長く、交差点で馬をいちいち停止させるするのは大変であったことから「とまれ」という交通ルールはあまりなく、車の時代になっても「YIELD」が残ったということです。
本当に見通しが悪い交差点では「STOP」があるのですが、そのほかは「YIELD」がたくさん。
ドライバーに任せられた裁量の範囲は広く、その方が皆さん交通ルールについていろいろ考えるようになるのではないでしょうか。
日本でも「止まれ」ばかりでなく「ゆずれ」の標識を増やして、ドライバーにあれこれ考えてもらう機会を設けるほうが皆さん安全運転するんじゃないのかなと思いました。
止まれのルール。ちょっと変なところもありますが、捕まると反則金を払わなければならないし点数がつくとお仕事にも差し支えると思いますので、ちゃんと守って安全運転しましょう!
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