道路にひいてある黄色いセンターライン。この本当の意味ってご存じですか?
ちなみにセンターラインの正式名称は「中央線」といいます。
ここが道路の中央ですよ!ということを示しています。
交差点付近にある黄色の区分線とはまた違いますので、ご承知ください。
追い越しに関する二つのルールを紹介
黄色のセンターラインというと「追い越し禁止の線だろ?」って思うでしょうが、半分正解です。
道路には追い越しが禁止されているところがあるのですが、標識や標示による追い越しについての規制は大きく分けてふたつのパターンがあります。
一つ目はこの標識。これが「追い越し禁止」です。
上に矢印看板があり下に「追い越し禁止」と文字でかかれた補助標識がついています。この二つがセットになっています。
意味は「絶対に追い越してはダメですよ」というもので、「そりゃここで追い越しちゃ危ないよね」というような場所に設置されています。
もう一つはこの標識と黄色の線。
標識は先ほどと同じですが「追い越し禁止」と書かれた補助標識がなく、矢印の看板単独になっています。
そしてこれと同じ意味を持つのが黄色のセンターラインです。
意味は「追い越しのために右側にはみ出してはダメですよ」です。
両方とも同じように聞こえますが実は全く別の意味。その違いを見てみます。
ちなみに一つ目の追い越し禁止を「追い禁」。
二つ目のはみ出しての追い越し禁止を「はみ禁」と呼びますね。
追い禁とはみ禁の違い
「追い禁」はその名の通り、追い越し行為を禁止しています。
どんなやり方であっても絶対に追い越しをしてはダメです。
ですのでこの標識のある場所では前の自動車がいくらノロノロ走っていても、区間が終わるまで追い越してはいけません。
つぎに「はみ禁」ですが、これは追い越しではなく「道路の右側にはみ出して」追い越しすることを禁止しているものです。
ですので、「はみ出さなければ追い越しても良い」ということになりますね。
黄色のセンターラインを越えるのはやめてね・・なので、追い越し自体が禁止されているわけではありません。
しつこいですがはみ出すのが禁止です。
「それなら極限まで高められた俺の車幅感覚ならギリギリ追い越しできるかも!」って思うかもしれませんが、そのあたりは慎重に行ってください。
歩行者でも自転車でも原付でもその横を通過するときは安全な間隔を保たなければなりません。
その間隔は1m~1.5mくらいといわれています。
「はみ禁」の道路ではセンターラインを越えないで追い越す車との間に安全な間隔をたもつことができれば追い越すことができます。
まあ、そんな幅の広い道路があったら・・の話ですけどね。
交通ルールマニアが論争する「はみ禁自転車追い越し」問題とは
さて「はみ禁」を示すこの黄色のセンターライン、実はもっと奥深いところがあります。
それは自転車が走っていた時の追い越し問題。
これについては「交通ルールマニア」の中で常にあれこれ言われています。
「はみ禁」の場所でゆっくりと走っている自転車がいた場合、黄色のセンターラインを越えて追い越しをしてよいか、それともダメなのかという論争です。
「自転車追い越しOK」という人と「自転車も追い越してはダメ」という人の言い分を聞いてみましょう。
まずは自転車追い越しOK派の意見。
「そんなことしていたら大渋滞になっちゃうよ!」。
本当にその通りですね。
「追い禁」の道路はあまり見かけませんが「はみ禁」の道路はそれこそいっぱいあります。
そしてたいてい道幅も狭いので、自転車がいたらはみ出さずに追い越すのはほぼ不可能です。
そして「自転車は追い越してOK」というちゃんとした根拠もあるようです。
それは道路交通法30条。
これは追い越しを禁止する場所について示しているのですが、そこに「特定小型原動機付自転車等を除く」と記載されているそうなのです。
これが自転車追い越しOK派の意見です。
では次に、自転車追い越しダメ派の意見を聞いてみましょう。
追い越しダメ派は「この法律はちょっとおかしい。」と言っています。
ですが法律の通りにするならはみ禁での自転車追い越し(はみだすこと)は禁止で、追い越しOKかダメかと言われればダメということのようです。
現実にそぐわないとしながらも法律では禁止されているという意見です。
もう少し詳しく見ると「自転車などは除くよ!」が当てはまるのは「追い禁」の第30条のこと。
「はみ禁」に関する第17条は「通行区分」という別の内容で、そこには「自転車などを除くよ!」なんてことは書いってことなんですね。
そういわれるとそんな気もしてきます。
皆さんはどのように考えますか?
結局どちらでも良い気がするが、とにかく安全に!
どうやら「はみ禁」でははみ出して自転車を抜くことも禁止らしいですね。
「自転車追い越しダメ派」の意見が有利のようです。
ちなみに駐車車両がいて避けるとか人が歩いているなんて場合は黄色のセンターラインをはみ出してもOKです。
だって追い越しじゃないですからね。
黄色のセンターラインの意味は「追い越しのための右側部分はみ出し禁止」。安全な間隔がとれる道路で右側にはみ出さなければ追い越すことができます。ですが追い越しをする対象が自転車であってもはみ出しは禁止。
現実に抜く、抜かないの判断は別として慎重な判断が必要になりそうです。
今回のお話はトリビア的なもの。
正直どっちでもよさそうですが、法律なので知らないと損をするかもしません。
黄色のセンターラインの本当の意味を知ると自転車の側を通るときの行動もちょっとかわってくるかもしれませんね。
道路がより安全になると良いと思います。