いつでもどこでも簡単にできる交通安全教育ネタを一つ紹介します。
それほど広くない部屋に7~8人の方を集めてください。
この方たちにはちょっとしたゲームと貴重な体験をしてもらいます。
「交通ルールの基本」がわかる体験講習とは?
運行管理者試験 問題と解説 貨物編 令和5年8月 CBT試験受験版 [ 公論出版 ]集まった方たちにお願いするのは次の3つ。
① できるだけ速く歩く
② 絶対に止まってはいけない
③ 他の人とぶつからない です。
開始の合図を出します。
はじめは皆さんガヤガヤ自由に歩きまわりますが、1分ほどすると変化が出てきます。
①誰かの後をずっとついていく人が出現します。
②さらにその後ろについていく人も出てきます。
③気づくと参加者全員が一列となり、円を描くように動きます。
この状態はずっと変わらず、参加者は止まらずぶつからず歩き続けます。場合によっては走るようになります。
これが「交通ルールの基本だ!」と言われています。
部屋という限られたスペースで、何人もの方が止まることなく一定のペースでぶつからずに歩く最適な方法が自然と出現したのです。
講習参加者に何が起きたのか?
細かく見てみましょう。
はじめは目的に従って個々がバラバラに動いている状態。止まらないようにぶつからないように人のいない空きスペースを探しながら移動しています。
ですが自分が進む先に人が割り込んでくると方向と速度を変えなければなりません。これを何度もやるのは疲れるしストレスを感じます。
そのうち誰かが「他の人の後にくっついて歩けば楽だ」と気づきます。①の状態ですね。
気づくというより勝手にそうなります。前の人が速度と方向をある程度決めてくれるので、ぶつからず止まらず歩き続けるのが楽になります。
さらにその後ろに人が続いたり他のグループが合流してきます。②の状態です。
バラバラで歩いていた人は楽になるし、先頭を歩いていた人も他のグループの後ろに続けば避けたり速度を変える必要が無くなります。
すべての先頭の方が誰かの後ろに続いて歩くようになると円になります。③の状態です。
こうなると全員が速度と方向の調整をする必要が無くなります。そして個々の移動速度が最大になります。
限定された空間で全員がストレスなく高速で移動する方法。それは「列を作って順番に動く」です。
これが道路を走る自動車にあてはまることはよくわかりますね。そして誰かが列を離れたり全く別の動きを始めると流れが一気に悪くなることもわかります。
この体験が「交通ルールの基本」と言われる理由です。
面白いのは「一列になって前の人についていく」という動きが勝手に発生したこと。
誰かが指示したりその場でみんなで話し合ったわけではないのです。
スペースと数人の方がいればどこでもできる体験ですので、安全講習などで使ってみてはいかがでしょうか。
「交通ルールの基本」がわかる体験講習でわかることとは?
この体験講習によって言えることはいくつかあります。
列を作って前の車に続いて走るという一見退屈な運転行為ですが、実は一番速くストレスなく車を動かす方法であること。
速度や走行位置がある程度決まっている方が運転が楽なこと。
そのルールから外れた車がいると全体の動きに大きな影響をあたえること。
「どうしてこんなこと守らなきゃならないのかな」なんて感じがちな交通ルールですが、全員が守ることによって絶大な効果を発揮しているということがわかります。
「やらなければいけない」と押し付けイメージのある交通ルールですが、参加者全員で見直すきっかけになると思います。
この講習の実施方法についてのご質問はこちらへ。詳しいやり方を紹介します。