まるでヨーロッパ?日本で広まる環状交差点「ラウンドアバウト」がスゴイ!

「ラウンドアバウト」って何?

円形の目を引く道路。

ちょっとおしゃれなデザインです。


これは「ラウンドアバウト」というもので、道路の法律では「環状交差点」という名前で呼ばれています。


ヨーロッパで古くから使われていたものだそうで、交差点を直角に曲がらせるのではなく、わざと緩いカーブにして馬車が者がスムーズに通過できるようになっています。


真ん中には島上のスペースが作られ、ここには車は入らないのでモニュメントなどが建っていたりします。


最も有名なのはフランスのシャルルドゴール広場。


何本もの道路が集まる広場の真ん中に凱旋門が建ち、その周りをぐるぐる回る環状交差点なのです。


見た目もかっこいいですよね。


日本でも似たような交差点はあったのですが、きちんと法律が整備され運用が始まったのは2014年。


その後あちこちに作られ現在は100か所以上あるということです。


ラウンドアバウトは、中心の島の周囲を一方向に周回する方式で環状の道路に一時停止や信号機がないものをいい、駅前広場のように止まれの標識や信号機があるものはロータリーと言います。


これはラウンドアバウトなので「そのとおり通行しなさい」という規制標識で、従わないと罰せられます。


ラウンドアバウトの構造は中央に島があり、その外に環道という円形の道路が回っています。


島の周りの部分をエプロンといい、大きな車が通行する時はここにタイヤを乗り上げることを想定しています。


ラウンドアバウトを通行する時の最も重要なポイントは、環道を走っている車が優先ということ。


ヨーロッパでの昔は交差点に入る車が優先で、環道の車は道を譲るという今とは逆のルールでした。


でもこのやり方では車の台数が増えると環道内の流れが悪くなり、動けなくなる車が続出。


また交差点に入る車は優先なのでスピードを落とすことなく突っ込むことで、ぶつかった時の被害は大きくなりました。


このためラウンドアバウトの評価は落ち、しばらく使われなくなりました。


ところが環道の車が優先。交差点に入る車が道を譲るという方法に変えたところ、問題は一気に解決。


ラウンドアバウトは安全で混雑しない交差点と評判になり、再びあちこちに作られるようになりました。

ラウンドアバウトは「理想的交差点」か?

ラウンドアバウトには良いところがいくつかあります。それを紹介しましょう。

安全


ひとつ目は「安全」。


ラウンドアバウトでは事故が起こりにくく、被害も比較的小さいようです。


なんといっても車と車の進路が交わる地点が普通の交差点の4分の1。


またその地点が離れているため、ドライバーは余裕を持つことができぶつかることが少ないようです。


また交差点に入るスピードは自然とゆっくりになるため、危険があっても回避する時間があり、万が一衝突しても被害は小さくなります。

無駄な待ち時間がない


ふたつ目は「無駄な待ち時間がない」


ラウンドアバウトには信号がなく無駄な待ち時間が発生しません。


田舎の赤信号を思い浮かべてください。


はるか遠くまで見渡すことができ、絶対に車が来ないことが分かるのに目の前の信号が赤という理由でひたすら待っているあの空白の時間。


信号無視はダメですが、本当に急いでる時は待っていられない人もいるかもしれません。


ラウンドアバウトにはそのようなことはないので、ドライバーのイライラを防ぐ効果もあるかもしれません。


そして無駄な待ち時間がなく「スムーズ」に通過できるということは、多くの車が通行できるということ。


これは世の中の渋滞を防ぐためにとても大切なことです。


特に複雑な五差路などでは、信号のある交差点とラウンドアバウトでは大きな違いが出ると思います。


ただし、ラウンドアバウトの方がスムーズに交通を流せるというのはある一定の量までで、あまりにも車の台数が多くなると信号のある交差点のほうが良いそうです。


ラウンドアバウトはどちらかというと郊外の小さめの道路で活躍しそうですね。

災害時も使える


みっつ目は「災害時も使える」


もし災害などで信号が動かなくなっても普通に使えます。


大規模停電が起こり街中の信号が一気に止まってしまえば交通はパニックになります。


でもラウンドアバウトはルールに従って走ればよいので、機能を失うことはありません。


またどのような車でも真ん中の島を突っ切って走ることができないので、どうしても速度を落とすことになります。


赤信号を無視することはできますが、ラウンドアバウトを無視することはできなそうです。

ラウンドアバウトの通行方法


ではラウンドアバウト走行のルールを紹介します。


ラウンドアバウトに入るときは、環道を走る車が優先なので道を譲りましょう。


そのとき、基本的には止まる必要はありません。


ラウンドアバウトに入るときは進行方向が決まっているのでウィンカーは必要ありません。


環道に入ったらできるだけ左側に沿い徐行で走行します。


ここを何周もぐるぐる回ることは交通違反かどうかはわかりませんが、あまり長い時間止まるのはよくないのではないかと思います。


ラウンドアバウトでウインカーを出すのは交差点から出るとき。


出ようとする地点の直前の出口の側方を通過したときに行います。


出入りの際は横断歩道があるので歩行者などに注意しましょう。

ルールが周知されれば取り締まりも強化?


日本でラウンドアバウトが本格的に運用されてから10年ちょっと。


導入されたばかりの時はこのルールを知らない人も多かったので、交差点に警察官や警備員さんが並んで車を誘導していました。


もし逆走なんてされたら交通が崩壊しますからね。


でも時間が経ってルールが周知されれば、取り締まりが強化されるかもしれませんね。