運転教育でとてもよく使われるのが「危険予測トレーニング」。
イラストや動画による運転場面を出し、「どのような危ないことが起こるのか」を予想してもらうものです。
例えば・・たくさんの車が駐車している道路。
ここを通行するとき、どのような危険を予測しますか?
私は危険予測問題は得意です!
車の間から歩行者が出てくる!
その通りですね!
他に・・
駐車車両がいきなり動き出すなど。
こんな感じであれこれ考えてもらうのが「危険予測トレーニング」です。
交通事故防止にとても役立ちそうですが、
オジサマたち「ベテランドライバー」には効果がない!と言われています。
オジサマたちに多い「不安全行動」
「危険予測能力」が安全運転を行う上で重要なことは言うまでもありません。
しかし、それだけでは交通事故防止は実現できません。
交通事故を起こしてしまった方に話を聞くと、
「飛び出してくる!とは思ったんだけれど本当にそうなるとは思わなかったな~」
なんてものがよくあります。
危険があることを十分予測していたにもかかわらず、事故になってしまったというものです。
ここで浮き上がってくる問題は「危険予測が安全運転行動につながっていない」こと。
「わかっているのだけれど危険に備えなかった!」
これがオジサマたちベテランドライバーに多くみられる「悪い」特徴です。
ベテランドライバーが「不安全行動」をとる理由
ベテランドライバーはこれまで数々の危険場面に遭遇してきました。
そしてそのたびに危険予測を行ってきました。
ですが、実際は危険予測したとおりの結果になることは少ないです。
歩行者も、自分が轢かれたら困るので車が来たら横断をやめます。
駐車車両も、あなたの車が通り過ぎてから発進しようと考えます。
「危険予測」のとおりの結果にならないのは皆が注意しているから。
その経験をあまりにも多く積むと「危ない場面なことはわかるけれど、大丈夫だろう。」って自然と思うようになります。
それがしっかり危険予測ができていてもブレーキを踏まない、ハンドル回避しないといった「不安全行動」につながると言われています。
「危険予測能力」だけでなく「安全行動」がとれるかが大事
「危険予測トレーニング」は運転経験の少ない方への教育で役立ちます。
免許取得前の教習生には最高の勉強ですね!
ですがベテランドライバーは既に多くの危険場面を知っています。
「危険予測トレーニング」問題にはすらすら答えることができるでしょう。
危険予測を行った結果、アクセルを離す、ブレーキを軽くかける、車体を少しだけ寄せる・・などの安全行動をとっているのかは、別の問題です。
「わかっている危険に対し具体的な回避行動をとることができるか」
それがベテランドライバーの課題です。
そこで教育場面では、危険予測だけでなく「対応ができているか」について確認してもらうことが必要です。
危険予測はあくまでも題材。
それにどのように対応すべきか、実際にどのように対応しているのかを自己評価してもらうことが、ベテランドライバーの安全運転教育に必要です。