最大の難関「方向変換」右バック?左バック?
免許センターや教習所で行う牽引車免許試験で、最大の難関が「方向変換」通称「車庫入れ」です。
牽引車の免許試験課題はほかに狭路の通行があるくらいで、この方向変換さえできればほぼ合格できると言っても過言ではありません。
幅5mの車庫にバックでおさめ、入ってきた方向に出ればよいのですが、これが想像以上に難しく普段トラックを運転されている方でもなかなかできないことが多いです。
教習所で教習を受ける場合、牽引車のの最短時限数は12時限なのですが、そのうちのほとんどをこの車庫入れに費やすほどなのです。
どうしてこんなに難しいのか。それは免許センターや教習所で使っている牽引車が特殊!ということがあります。
一般的にいう牽引車というのは比較的小さなトラクターで巨大なトレーラーを引っ張るものです。
ところが免許試験で使う牽引車はトラクターとトレーラの大きさはほぼ同じ。こんなに仕事ができない(積めない)牽引車なんてここにしかありません(免許センターによってはフルサイズもあります)。
巨大なトレーラ(牽引車)をいつも運転されているドライバーでも、この小さな牽引車でバックするのはちょっと難しいと感じるかもしれません。
今回はこの特殊や牽引車を使って行う方向変換のコツについて、3つのポイントに分けて解説します。
方向変換のルール
まずは免許試験での牽引車の方向変換のルールを紹介します。
①3回以下の切り返しで行う。4回切り返しをするとその場で不合格
②方向変換が完了したときトレーラーとトラクターを一直線上にする。
これは車庫に対して斜めになっていても大丈夫です。
他に気をつけるのは安全確認をしっかり行うこと。
後退する前にその方向の安全を確認することと、後退中に周囲を確認することです。
ちなみにちょっとでも前進などして再び後退などする切り返しの度に、後退する方向の安全を確認しないと減点されますので忘れずに行いましょう。
「折る」「伸ばす」で説明します
運転免許試験での牽引車の方向変換のやり方について紹介しますが、その解説の表現についてあらかじめ説明しておきます。
ハンドルをどちらに回すかについては「折る」「伸ばす」と表現します。
その理由として「右に回す」「左に回す」という表現は操作の最終的な部分だけを指しており、それによって車をどのように誘導したいのかというイメージがつかみづらいからです。
もし逆の方向にハンドルを切ってしまってもすぐに修正すれば大丈夫です。
車庫が左方向にある「左バック」ではハンドルを右に回すと折れ、左に回すと伸びます。
車庫が右方向にある「右バック」ではハンドルを左に回すと折れ、右に回すと伸びます。
コツはなるべくゆっくり後退することです。
そうすれば考える時間もでき、間違っても修正するチャンスがあります。
方向変換①誘導
牽引車の車庫入れの方法について「誘導」「角度」「伸ばし」の3つに分けて説明します。
誘導とは後退を開始してからトレーラーの後輪をコースの角に近づけていく過程のことをいいます。
トレーラー後輪を角ピッタリに近づけるのではなく、それより外側0.5mくらいの位置に向けるのがベストだと思います。
そのためには、はじめに車庫との距離を1mくらい空けて停止するようにし、誘導に余裕を持たせるとよいと思います。
あまりにも車庫側に寄りすぎると自由に誘導できなくなります。
誘導の操作としてはハンドルを4分の1周くらい回し、折りながら後退していきます。
ハンドルをどのくらい回すのかは後退する距離とトレーラー・トラクターのバランスによって変わりますが、どの免許センターでも教習所でも車の大きさや車庫の大きさは変わらないので、車庫の角から一車長より前から後退をはじめるなら、ハンドルを4分の1周から半周くらい回して「様子を見る」で良いと思います。
この誘導の段階では後退しながらどのくらいトレーラーが折れていくか観察するのですが、押さえておきたいのは「トレーラーは加速度的に折れていく」ということです。
後退のはじめは思ったより折れず、ついついハンドルを足してより折ろうとしてしまいます。
ところがトレーラーは進めば進むほどどんどん折れていくので、そのままではトレーラーの後輪が車庫の角より手前に向かいやり直さなければならなくなります。
わかってはいますがどうしても折りすぎてしまう人が多いので、「なかなか折れないな」と思ってもちょっとハンドルを回すのをガマンして「待つ」ようにしてみると意外とうまくいきます。
可能であれば「折る」「伸ばす」「折る」「伸ばす」という操作で誘導していけると良いです。
それはトラクターの外輪差スペースを確保しておくためです。「折る」とトラクターは外側に移動し、そのままだと外輪差で膨らむスペースが無くなってしまいます。
そのため「折る」の後に必ず「伸ばす」を入れることでトラクターの向きを修正しましょう。
誘導が完了する状態でトラクターがこのような状態になっているといいです。
(上図 〇「トラクターの向き」(青)の方向。×(赤)の方向はあまりよくありません)
そうしないと最後の伸ばしで詰みます。
ハンドルを回す量が少なくて「折れない」場合ですが、よっぽど車庫から外れない場合以外は後で説明する「角度」と「伸ばし」で何とかカバーできます。
明らかに範囲に入らなそうな場合を除き、そのまま後退を続けて良いと思います。もし車庫外側のポールにぶつかりそうな場合は前進してやり直してください。
方向変換②角度
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ここでいう角度とは、トレーラーの後輪が角をクリアしてから車体を車庫に入れていく過程のことを言います。
そして何の角度かというとトレーラーとトラクターの角度のことです。
車庫に入っていく過程での理想はトレーラーとトラクターが「折れもせず、伸びもせず」一定の距離を後退することで、その角度は135度くらいが最高です。
ここでハンドルをぐるぐる回して「折り」、あまりにも角度をつけすぎてしまうと次の過程である「伸ばし」を早く行わなければなります。
「車庫に入らないと困る」と考えるとついつい折ってしまいがちですが、それは絶対にダメ。
なんとなく「スペースに入ればいいや」くらいの角度のまま後退していきましょう。
免許センターや教習所の牽引車は「折るのは簡単だが伸ばすのに距離が必要」です。
できるだけ短い距離でサッと伸ばせるように「折りすぎない135度くらい」をキープしましょう。
角度が緩すぎて車庫に入らなそうな場合には一度ハンドルを回して折りますが、ある程度トレーラーの向きが変わってきたと思ったらすぐに伸ばして次の過程に備えてください。
このすぐに伸ばすというのがポイントです。
誘導がうまくいっていれば、135度くらいの角度をキープしながらわずかなハンドル操作で車庫の中にトレーラーが入っていくはずです。
ちなみに角度をキープするときのハンドル操作ですが、角度がついている牽引車はハンドル操作を全く行わなければだんだん折れてしまうので、わずかに伸ばすハンドル操作が必要になります。
方向変換③伸ばし
これはトレーラーがある程度車庫内に入った後トレーラーとトラクターを一直線状にする過程です。
車庫に入っていく状態では角度がついていますので、それをゼロにするために伸ばさなければなりません。
この伸ばしのタイミングのポイントは「思ったより早く」です。
特に普段トラックを運転している方は要注意。
なぜかというと免許センターや教習所の短い牽引車は「折るのは簡単だが伸ばすのに距離が必要」で、毎日トラックを運転している方ほど「こんなに早く伸ばさなければいけないのか」ということをなかなか納得していただけないことが多いからです。
そのためにここではトレーラーの側面と車庫をまっすぐにするという見かたをしないで、トレーラーとトラクター全体の動きを見るようにしてください。
もし早く伸ばしてしまった場合、ちょっと折って修正しすぐ伸ばせば大丈夫です。
伸ばすのが多少遅れてもトレーラーとトラクターを逆になるまで伸ばすことができれば何とか修正できます。
でもあまりにも伸ばし遅れれば、絶対にトレーラーとトラクターはまっすぐにならないのでアウトです。前進して切り返しをするしかありません。
牽引車で上手に方向変換するためには、これまで紹介した、誘導・角度・伸ばしの三つを適切に行わなければなりません。
失敗した場合はこの3つのポイントのどこが良くなかったのか確認する必要があります。
誘導がうまくできなければその後の角度も伸ばしもうまくいかないでしょうし、誘導がうまくできても伸ばしが遅れれば失敗してしまうのです。
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基本的に教習所の指導員の教え方は、初めはやり方を説明してくれますがその後は何回も何回もやってもらってわかるようにするという方法だと思います。
牽引免許の教習はほかにやることは少なく方向変換が主だからです。教習の後半では何回も納得できるまで方向変換をやらせてくれる指導員のほうがいいのかもしれませんね。