積3tの意味は?「4トントラック」が注意すべき進入禁止標識の種類

この記事では、トラックの通行で注意すべき3つの標識を紹介します。
4トントラックは通ることはできるのか、それともできないのか。

もし知らないと、違反・事故の原因となるだけでなく事業所自体の信頼を失うかもしれません。

あるトラックドライバーさんが、狭い道でぶつけてしまったという話を聞きました。

街中にある古い工場に4トン車で向かう途中だったようです。

不思議なのはなぜそんな狭い道路を通るのか・・ということ。

ドライバーさんによると、工場に向かうには通れない箇所があり、それを迂回するためだったとのこと。先輩から教えてもらったルートだそうです。


しかし、後にその道路が「通れない」というのは間違いだったことが判明。ドライバーさんはわざわざ狭い道を通って危ない目に遭っていたことになります。

さらに「通れない」ことについて、本人や先輩だけでなく事業所全体で間違った認識を持っていたことも判明。誰かが勘違いして「あそこは通れない」と言ったことを全員で共有してしまっていたのです。

実はこのようなことはよくある話。標識の正しい意味を知ることが大切です。

指定方向外進行禁止+トラックマーク

この標識のある十字の交差点。4トントラックは右折できるでしょうか?


まっすぐと左にだけ矢印が示された青い標識。右には曲がってはいけないという意味でしょうが、その下にトラックのマークがあるのが迷うところ。これは一体何を表しているのでしょうか。


答えは「4トントラックはこの交差点を右折できる!」です。

上の青い標識は指定方向外進行禁止。「車は矢印の方向以外は進行できない」という意味で、この場合は右折禁止を表します。

下のトラックのマークは、上の標識(本標識)が示す交通規制の対象となる車の種類を示す補助標識。トラックのマークが示すのは「大型貨物自動車と特定中型貨物自動車、大型特殊自動車」です。


4トントラックはこのマークの対象となるトラック(自動車)には含まれていないので、この交差点を右折できるということになります。

ややこしいのは「特定中型自動車」。

  • 車両総重量8t以上11t未満
  • 最大積載量5t以上6.5t未満

の中型貨物自動車を言います。(乗用は乗車定員11人以上29人以下)


ひとことで言うと「むかしの大型自動車」のこと。

2007年に中型免許が新設される以前に、大型免許がないと運転できなかったトラックのことで、7トン車とか8トン車などと呼ばれている車です。

知らないと捕まる「特定中型自動車」のルールを紹介した記事はこちら


4トントラックと特定中型貨物自動車の簡単な見分け方はナンバープレート。特定中型(以上)は大板で4本のビス。それに該当しない4トントラックなどの中型車は中板で2本止めです。


免許に関する法律はこれまでに何度も改正されていますが、全国の道路にある標識はほぼ昔のままです。

トラックマークの補助標識は当時の大型トラックを示すものなので、4トントラックは該当しません。

重量制限

この標識が示された橋は4トントラックで通行できるでしょうか。


重い車の通行を制限する標識だと思われます。

標識の数字は5.5tとありますが、一体何の重さを示しているのか、4トントラックがそれに該当するかどうかがポイントですね。


もうひとつ気になるのは積載の状態。

トラックって空車状態と実車状態があるじゃないですか。

仮に最大積載量2500kgの4トントラックに荷物を満載すれば、車の重さは+2.5t分重くなります。

空車と実車で通行できるかどうかが変わるのでしょうか?


答えは「この標識のある道路は4トントラックは通行できません。」

この標識の名前は「重量制限」。総重量(車の重さ、荷物の重さ、人の重さの合計)が表示された重量を超える車は通行できないという意味です。


車両総重量は車によって異なり、車検証を見ないとわかりません。

参考までに、現行の中型免許で運転することができる自動車の車両総重量は7500kg以上11000kg未満。中型トラックである4トントラックの車両総重量は7500kgくらいと考えることができるでしょう。

そもそも、4トントラックという言い方自体がとても曖昧なものですからね。


車両総重量は5500kgを越えていますので、この標識のある道路を4トントラックは通行できません。おそらく通行できるのは2トン車クラスより小さなトラックでしょう。


ちなみに「超える」という表現はその数字を含めないということ。車検証の車両総重量が5500kgであればギリギリ通れることになります。


もう一つ気になるのが空車状態と実車状態。荷物を積んでいるかどうかによってトラックの重さはとてつもなく変わるので、空車の場合なら実際の重さは5500kgよりも少なくなるかもしれません。


ですが、結論から言うと空車でも実車でも通ることはできません。なぜかというと基準が「車両総重量」だからです。


車両総重量は車検証に記載されている数値です。この数値はもともと決められているもので、車両総重量7500kgのトラックは、どのような状態であっても車両総重量7500kgです。

そもそも車の重さを正確に把握するのは大変。一度計量したとしても燃料が減れば多少軽くなるし、ドライバーさんがペットボトルの水を買えば2kg増えますからね。

ということで、実車でも空車でも車検証に記載されている数値が超えていれば通行できません。

「荷物を降ろして軽くなったから帰りは通れるよ」なんて話があったら、それは嘘です。

特定の最大積載量以上の貨物自動車等通行止め

この標識のある道路。4トントラックで通行できるでしょうか。


上は通行禁止の赤丸枠の中にトラックのマーク。下には積3tと書いてあります。


さきほどトラックのマークは大型貨物自動車と特定中型貨物自動車、大型特殊自動車を示していることを紹介しました。ですので、これらの車は通れないことはわかります。

迷うのが下の「積3tのトラックマーク」。これに4トントラックは該当するのでしょうか。


答えは「車検証を見て!」です。

そんなはっきりしない答えなの!って怒られそうですが、そうとしか言いようがありません。

この標識は上下セットで「特定の最大積載量以上の貨物自動車等通行止め」を表しています。意味は「補助標識で示された最大積載量以上の貨物自動車と大型特殊自動車は通行できない」です。


最大積載量は車が積める荷物の最大重量です。

数値はトラックによってバラバラ。同じ4トントラックといっても冷蔵設備がついているからと2500㌔くらいまで減らされているものや、4000㌔くらいまでマルマル積める平車もあります。

最大積載量はトラックの後ろに表示されていますが、車検証にも記載されています。ですので、この数値を見てそれ以上であれば通行することができません。

  • 積3tでは一部の4トントラック
  • 積2tではほとんどの4トントラック  が通行できないことになるでしょう。


この標識の組み合わせは、大型トラックや特定中型だけでなくもっと小さなトラックにも通ってほしくないな・・という道路に設置されます。住宅街であるとか地盤の関係などいろいろな理由が考えられます。


この標識の説明でいう以上というのはその数値を含めて大きなものをいうので、最大積載量がちょうど3000kgだったらダメですね。


そして最大積載量も元々決まっている変わらない数値です。荷物を積んでいてもいなくても関係ないのでご注意ください。

お化け4トンは通れるのでは?


さてこのあたりでトラックに詳しい人なら「あれ?」と思うかもしれません。

それは「サイズはでかいけれど最大積載量がやたら少ないトラックもあるよね・・」というもの。


たとえば「お化け4トン」などと呼ばれるトラック。荷台の長さは9m以上あり、全長は大型車とほぼ同じです。

しかしベースは4トン車で、中型8t限定免許があれば運転することができます。主に発泡スチロールなど軽く大きな荷物を運ぶために造られているので、このような姿になっています。


この「お化け4トン」の最大積載量は2000㌔を切ることもあります。ということは「積3t」の標識があっても通行することができます。

法律的にはOKですが、あまりにも見た目が大きなトラックが住宅街を通ると苦情をもらいそうですね。


わざわざ狭い道路に入りたいというドライバーさんはいませんが、「どうしてもこの区間だけ」ってことはあるかもしれません。そんなとき、標識のことをしっかり理解していればきっと役に立ちます。

ということで、誰もが間違いそうな4トントラックに関する標識を3つ紹介しました。