この記事では、大型免許を返納する前に「絶対確認しておかなければならないこと」を紹介します。
ここ10年ほどで運転免許制度は大きく変わり、中型免許や準中型免許など新しい免許が誕生しています。
現在免許の一部を返納した場合、残すことができる免許は「現行制度」の区分となります。
これを知らないと、好きな車を運転できなくなるかもしれません・・。
視力が低下したとき大型免許返納で「免許継続」できる理屈
大型免許を返納する理由とは一体なんでしょうか?
それは「免許を継続させるため」。
多くの原因は「視力低下」です。
運転免許の視力基準は二つあります。
① 厳しい基準(両眼0.8、片眼0.5、+深視力試験)
二種、大型・中型・準中型、牽引免許などです。
② 簡単基準(両眼0.7,片眼0.3)
普通・二輪免許などです。
視力試験はその方が持っている免許のうち一番厳しい基準で行われます。
大型免許を持っている方は、厳しい基準に合格しなければ免許更新できません。
年齢を重ねると、視力が変化します。
これまで見えていたものが見えなくなったり、深視力検査が通らなくなったりするのです。
厳しい視力基準がクリアできなくなったとき、大型免許を返納して免許を継続させます。
大型車は運転できなくなりますが、普通免許は残ります。
これを運転免許の一部返納といい、普通免許と大型免許を持っている方が普通免許を残して大型免許だけ無くしてしてもらうというものです。
やり方は運転免許センターまたは警察署に行って手続きをするだけ。
本人が出向けば簡単にできます。
免許返納は「絶対に元に戻すことはできない」ので、慎重に行ってください。
注意「大型免許」返納に失敗すると小さなトラックも運転できなくなる!
大型免許返納に関して「失敗した!」という方のお話を聞きました。
① 免許更新で深視力試験に合格できなかったので、大型免許の返納を申し出た。
② 担当の警察官に「返納はやめたほうがいい」と止められたが、そのまま手続きを済ませた。
③ 大型免許を返納しても2トン車くらいは運転できると思っていた。
④ 新しい免許では2トン車も運転できないことを知ったのは免許返納の後。
2トン車を運転するには、もう一度免許を取り直さなければなりません。
※返納前にどのような免許を所持していたのか、返納車種についてどのように説明したのかは不明です。
この方は深視力検査に合格できず、やむなく大型免許を返納しました。
大型免許を返納しても、下位免許である中型自動車や準中型自動車を運転できると思っていました。
しかし、新しく交付された運転免許は「普通」。
中型自動車や準中型自動車を運転することはできません。
(現実的な表現でいうと、「4トン車や2トン車も運転できない」です。)
どうしてこうなるのか・・。
それは現在の法律では「大型免許の視力基準を満たせない=現行普通免許」となるからです。
視力基準のうち「厳しい基準」に該当するのが大型・中型・準中型自動車(一部表記)。片眼0.5以上、両眼0.8以上、深視力に合格できない場合、受けることができる免許は現行普通免許となります。
一度免許を返納すると元に戻すことはできません。
大型免許を返納しても4トン車を運転できるのは「中型8t限定免許」が残っている人
大型免許を返納しても4トン車までを運転することができる人がいます。
それは「中型8t限定免許」を持っている方。
運転免許の条件欄に「中型車は中型車8tに限る」と書いてある人です。
中型8t限定免許は二つ前の普通免許。平成19年6月2日に中型免許が新設されたことから、それ以前の普通免許が中型8t限定免許になりました。
昔の普通免許なので、視力基準は片眼0.3以上両眼0.7以上のままです。
この免許を持っている方は、大型免許を返納しても4トントラックを運転することができます。
あなたの免許から「中型8t限定」が消えている理由
平成19年6月2日より前に普通免許を持っていた方でも、それが中型8t限定免許になっていない方もいます。
それは中型8t限定免許が中型免許に格上げされる場合があるからです。
中型免許が新設された以降に、中型8t限定免許より上位の免許を取得すると、中型8t限定免許は自動的に中型免許になります。
これはよいことか悪いことかわかりませんが、現行の法律に合わせるということです。
例
中型8t限定免許を持っている方が新たに大型免許を取得すると、現行の大型免許と中型免許になる。 中型8t限定免許を持っている方が限定解除(マイクロバスを運転できる免許にする)すると現行の中型免許になる。 つまり法改正後に新しく(四輪系)免許をとると、中型8t限定免許は無くなってしまうのです。そして免許の条件欄にある「中型車は中型車8tに限る」も消えてしまうのです。
この方が大型免許を返納したとき残せる免許は「中型」「準中型」「普通」。
簡単視力基準で運転できる自動車(四輪)は現行の普通自動車一択です。
「中型8t限定」があるのに「大型免許」返納で「現行普通免許」になってしまう恐ろしい話・・
免許返納の話は、まず視力試験を担当した警察官などにすることになるでしょう。その後事務処理に引き継がれ、新しい免許が作成されます。
この過程でお互いの考えていることが嚙み合っていないと大変なことになります。
おそらく担当警察官は「普通免許になりますよ」と確認するはずです。
ここで担当警察官が言う「普通免許」が現行法律の「普通免許」のことだとしたら・・。
2トン車を運転することもできません。
これを「昔の普通免許(中型8t限定免許)のことだ」と思いこんで・・
「わかりました」なんて返事をすると・・
そのまま手続きが進んでしまいます。
かなり前から普通免許を持っていた人は、大型免許を返納しても昔々の普通免許(8t限定)に戻ると思いがち。
ですが、警察官の言う「普通免許」はきっと現行の普通免許です。
よくわからなかったら、「また出直す」くらいの気持ちがあってもいいです。
ここで必要なことは
「大型免許を返納したい」だけでなく「返納後も4トン車(2トン車)を運転できるようにしたい」と確認すること
です!
そうなると担当警察官も「中型8t限定を残すってことだね!」とわかります。
また中型8t限定が無い場合、「あなたは大型免許を返納すると4トン車も2トン車も運転できなくなるよ」と教えてくれるはずです。
先ほど紹介した方は、平成19年以降に大型免許を取得するなどして中型8t限定が格上げされてしまっていたのかも。
この場合、視力が通らなければ普通免許になるので、担当警察官もそれ以上突っ込まなかったのかもしれません。
大型免許を返納しても4トン車を運転できるのは現在の免許に「中型車は中型車8tに限る」の条件がある方だけ。
ここは絶対に確認してください。
返納手続きのやりかた
免許返納手続きを行う場所は警察署・免許センター
運転免許に関する手続きは、各都道府県の運転免許センターや警察署で行います。ただ、警察署によっては手続きを行っていないところもありますので、注意してください。
受付時間は、平日8:00から16:40分(各署によって異なる)。土日祝日、および年末年始の手続きは行っていません。
返納手続きに持っていくものは免許と手数料
【免許証】返納手続きには運転免許が必要です。免許の種類欄が変更されるからです。また、写真1枚と筆記用具を持ってくてくださいと案内される場合があります。また、住所や氏名など記載事項変更を合わせて行う場合は住民票や保険証など身分証明書類が必要です。事前の確認をしてください。
【手数料】一部返納後は新しい運転免許証が交付されることになります。そのため手数料が必要となります。交付手数料は2,050円です。また、一部返納(取消し手続き)と下位免許の取得申請(原付を残すなど)には、一つ行うごとに200円の手数料がかかります。
代理人が行うこともできます
代理人が手続きを行う場合、返納する本人の運転免許証と手数料のほかに、次のものが必要となります。
・申請者(免許を返納する本人)の写真 1枚
・申請者と代理人の関係を示す書類
・確認書と誓約書
・代理人本人の身分証明
いずれも都道府県によって異なる場合がありますので、事前にHPなどで確認してください。
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