「免許返納」の新しいスタイル
人生100年と呼ばれる時代。私たちの生活にあれこれ役立つ自動車、できれば長く運転することができればいいですよね。
もちろん交通事故を起こさなければ・・です。
最近はリスク回避のため、引っ越しや退職を機に自ら運転免許を返納する方も増えているようで、ある程度の年齢になったら「免許を返納する」というのが当たり前の時代が来るかもしれません。
免許返納というと、運転すると危ないから返すというネガティブなイメージしかなかったのですが、これからは免許返納の理由が個人の意見を尊重した「なるほどね~」というポジティブなものに変わっていきそうです。
そして免許の一部だけを返納する方が増えるようになります。例えばこんな感じ。
普通免許をもっているコマツさんは、実は運転が苦手。いつも「事故をおこすかもしれない」と不安な気持ちでいっぱいでした。
ところが駅近!街中に引っ越しすることができ、車がいらない生活を送れるようになりました。
安心したコマツさんは近場の移動と身分証明のため原付免許だけ残し、普通免許を返納しようと思っています。
「自分がやりたくないことはしない」という決意のための免許返納ですね。
またこれまでタクシーの運転手をしていた和田さんですが、退職後、年を重ねるごとに免許更新での視力試験がきつくなってきました。
タクシーを運転できる二種免許の視力基準は片眼0.5,両眼0.8プラス深視力という厳しいもので、いつも悩まされています。
タクシーを運転することはもうないので、二種免許を返納し普通免許と同じ片眼0.3,両眼0.7だけの簡単な視力試験だけで免許更新できるようにしようと思っています。
これは「体の変化」に合わせた返納です。
これからの時代、環境変化や体調に合わせたさまざまな運転免許との付き合い方が始まっていきます。
そこで必要となるのは、これまで誰も関心を持たなかった「免許返納の知識」。
免許返納は簡単な手続きで済ませることができますが、一度やってしまったらもとに戻すことはできません。
そこで今回は免許返納の仕組みについて簡単に解説し、さらに絶対に返納しないほうが良い「中型8t限定免許」についても紹介します。
この免許を持っている方は絶対最後まで見てくださいね。
絶対知っておかなければならない!免許返納の種類
免許返納の仕組みを簡単に説明します。
免許返納では希望によって下位免許を残すことができます。(上位下位というと二輪免許なども入ってくるのですがわかりにくくなるので、ここでは4輪の1種免許に限定して説明します。)
大型免許を返納するとき、下位免許は中型・準中型・普通免許なので、このいずれかの免許を残すことができます。
中型免許を返納するとき、下位の免許は準中型・普通免許なので、このいずれかの免許を残すことができます。
「準中型免許ってなんだよ」って思った方もいるでしょう。そう、私たちの知らない間に新しい免許ができていたのですね。
返納後に残す免許の種類は現行の法律の区分に従います。
この免許はどのくらいの大きさの自動車を運転することができるのか、必ずチェックしておく必要があります。
ちなみに準中型免許は通称2トントラックや3トントラックまでを運転できる免許となります。
正確な情報は警察庁HPと車検証で確認してくださいね。
免許を返納した後、残す最上位免許の適性試験に合格しなければなりません。
適性試験のうち視力試験で厳しい基準は、片眼0.5以上、両眼0.8以上、プラス深視力試験のクリアで、この中でも深視力試験は苦手だという方が多く、免許更新の悩みとなっていますよね。
この厳しい視力試験をクリアしなければならないのは大型・中型・準中型免許(二種・牽引)です。
一方、普通免許は片眼0.3以上両眼0.7以上のみという簡単視力試験をクリアできればOKなのでいいですよね。
免許には厳しい視力試験と簡単視力試験があるのです。
ここまでが免許返納の仕組みですが、なんとなくおわかりいただけたでしょうか。
よく考えてほしい「中型8t限定免許」の返納
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ではここからは絶対に返納してはならない、返納すると損をするという中型8t限定免許について紹介します。
免許の条件欄に「中型車は中型車8tに限る」と書いてある方いますか。この「中型8t限定免許」はとんでもなくプレミアムな免許です。
「中型8t限定免許」を持っているのは現在の年齢でいうと30代後半から40代、50代以上の方。
2007年6月2日より前に普通免許を取得した方です。
当時の四輪車の運転免許は大型と普通の二種類しかありませんでした。2007年に中型免許が新設され、それまでの普通免許は「中型8t限定免許」となりました。
免許の名前が変わっても、運転できる車の大きさに変更はありません。「中型8t限定免許」を持っている方は通称4トントラックあたりまでの大きさの自動車を運転することができます。
また、視力試験の基準も昔の普通車と同じなので、簡単視力でOKです。
中型8t限定免許を持っていると、免許返納時の選択肢が増えます。
大型免許だけを持つ方が返納する場合、選択できるのは中型・準中型・普通免許でしたよね。
ところが大型免許と中型8t限定免許の二つを持っている方は、返納後の免許を中型、中型8t、準中型、普通免許のなかから選択することができます。
昔の普通免許に戻すことができるということですね。
現行の法律では2トントラックを運転するのに必要な準中型免許でも、厳しい視力試験となります。
それが簡単視力だけで4トントラックを運転できる中型8t限定免許ってすごいですよね!
手放す必要はありません。
具体的な例をみてみましょう。
運送会社に勤めるネズミさん(65歳)は大型免許と中型8t限定免許を持っています。
これまで大型トラックの仕事をしていましたが、退職後は2トン車を運転して実家の畑をのんびりいじくってみようかと考えています。
最近は視力にも自信がなく、次の免許更新は不安に思っています。そこで免許を返納することにしました。
2トントラックを運転するためには準中型免許が必要ですが、それでは厳しい視力試験を受けなければなりません。
簡単視力で免許を更新するには普通免許だけにすることになるのですが、現行の普通免許で運転できる車の大きさはとても小さく(現行普通免許とは車両総重量3500キロ未満、最大積載量2000キロ未満(乗車定員10人以下)、2トントラックを運転することはできません。
ということで現行の法律ではネズミさんが希望する免許はありません。これは困りますね。
しかしネズミさんはプレミアム免許中型8t限定を持っています。
これがあれば2トン車を運転することもできますし、簡単視力で免許更新をすることができます。
さっきまでの悩みはすべて解決ですね。
ということでネズミさんは中型8t限定免許を残してほかの免許を返納し、2トン車を運転して畑に行く生活を始めることができました。ということです。
注意!2007年6月以降に大型免許を取得された方は、それまで所有していた中型8t限定免許が普通免許に変更されています。この場合、大型免許を返納すると中型8t限定免許は残りません。中型8t限定免許を所持している方は、免許証の条件欄に「中型車は中型車8tに限る」の記載があります。
このあたりの内容については、警察署や免許センターにいったとき、今後自分がどのような自動車を運転したいのか、できるだけ具体的に伝えることがとても大切です。
これまでほとんど必要のなかった免許返納の知識ですが、この先どのような時代に流れになるかわかりませんので知っておいた方がいいです。
これからも運転免許や交通安全などについての情報を発信していきますので、またご覧になってください。