
「なぜ海老名ジャンクションは、いつ走っても混んでいるのか?」——圏央道や東名高速を使う人なら、一度は疑問に思ったことがあるはずだ。
渋滞7km・15分は日常、時間帯や事故次第では倍以上に悪化する日本屈指の渋滞名所。それが海老名ジャンクション(JCT)である。
実はこの渋滞、単なる交通量の多さが原因ではない。特殊すぎる道路構造と、設計当時の前提、そして後から作り直せない事情が複雑に絡み合って生まれている。
結論まとめ(先に知りたい人向け)
- 海老名ジャンクションが混む最大の理由は、分岐が主役になる特殊構造と受け入れ能力の限界
- 設計当時は現在の交通量を想定できず、後から拡張できない立地条件が致命的だった
- 当面は「新東名ルート」などの回避ルートを知っているかどうかが渋滞ストレスを左右する
この記事では、なぜ海老名ジャンクションが慢性的に渋滞するのかを「構造」「歴史」「将来計画」という3つの視点から解説する。あわせて、実際に使える渋滞回避ルートや走行時の判断ポイントも紹介する。海老名JCTの渋滞理由を知りたい人、圏央道や東名高速をよく使う人に向けた実践的な内容だ。
左車線だけが異様に混む理由|海老名JCT渋滞の直接原因

圏央道を走っていると、厚木PA付近から左車線だけが詰まり始める光景を目にする。右車線はそれなりに流れているのに、左だけが長蛇の列。「左だけ混んでいないか?」と感じたことがある人も多いはずだ。
海老名JCTの混雑理由は、大きく分けて3つある。
① 左車線への早期集中
海老名JCTで東名高速へ向かうには、必ず左車線に入らなければならない。「後で入れなくなったら困る」「今のうちに寄っておこう」という心理が働き、まだ何キロも手前から車が左へ集中する。その結果、左車線だけが異常に長い渋滞列になる。
② 合流ポイントの多さ
この区間には、厚木PA、圏央厚木IC、海老名ICという3つの合流ポイントが連続して存在する。ただでさえノロノロな左車線に、次々と車が加わることで流れはさらに悪化する。誰が悪いわけでもないが、構造的に渋滞が伸びやすい。
③ 受け入れ能力の限界
最大の理由が、海老名JCTそのものの処理能力が限界に近いことだ。この点は、構造を知るとよりはっきりする。
巨大ゼブラゾーンの正体|海老名ジャンクション特有の構造

海老名JCTには、やけに広いゼブラゾーンが存在する。一見すると無駄に見えるが、実はこれが渋滞を抑えるための重要な装置だ。
通常のジャンクションは「直進」が主役だが、海老名JCTは違う。通行車両の約8割が東名高速へ向かうため、分岐が主役、直進が脇役という完全な主客逆転が起きている。
この異常な流れを安全に捌くため、直進(茅ヶ崎方面)は右1車線に集約し、左車線を分岐専用とした。その際、大量の車を無理なく1車線にまとめるために設けられたのが巨大なゼブラゾーンである。急な進路変更や急ブレーキによる事故を防ぐ、安全バッファとしての役割も果たしている。
無理やり拡張された二車線|限界まで使われる海老名JCT
ジャンクション内部をよく見ると、壁が近く、視界が圧迫され、路肩も存在しない。実はこの道路、もともと1車線で設計されていた。
渋滞があまりにも深刻だったため、後から路肩を潰して無理やり2車線に拡張したのが現在の姿だ。巨大ゼブラゾーンと無理やりな二車線——今の海老名JCTは「できることはすべてやった後の最終形態」なのである。
なぜ最初から大きく作れなかったのか|設計当時の前提と誤算

「最初からもっと余裕を持って作ればよかったのでは?」と思うのは当然だ。しかし、計画当時の前提を知ると話は単純ではない。
海老名JCTが設計された1990年代、圏央道は東名高速を補助する交通量の少ない環状道路という位置づけだった。都心から40〜60km離れた場所に、これほどの需要が生まれるとは想定されていなかったのである。
さらに物流の変化も大きな誤算だった。当時は港湾や拠点間輸送が中心で、IC周辺に巨大物流倉庫が並び、24時間トラックが出入りする現在の姿は想定外だった。
2014〜2015年に圏央道が一周したことで、都心を抜けていた膨大な車が一気に流入したことも、予測を大きく超える要因となった。
加えて、海老名JCT周辺は軟弱地盤に加え、住宅地や鉄道に囲まれており、後から拡張することが物理的にほぼ不可能だった。段階整備という考え方が通用しない立地条件だったのである。
海老名JCTは今後どう変わる?|拡幅工事と新ルート計画

完全な解消は難しいものの、今後に向けた改善策は進んでいる。
まず、2029年度完了予定で、海老名JCTから横浜町田IC間に東名高速の付加車線が設置される。これにより合流後すぐに詰まる状況が緩和され、ジャンクション内部に車が溜まりにくくなると期待されている。


また、厚木秦野道路(国道246号バイパス)や横浜環状南線・横浜湘南道路といった新ルートの整備も進行中だ。これらが完成すれば、海老名JCTに集中していた交通が分散される可能性がある。
今すぐ使える渋滞回避ルート|圏央道・東名の走り方

名古屋方面へ向かう場合は、新東名を使ったスルールートが有効だ。圏央道の右車線を直進し、海老名南JCTから新東名へ入り、伊勢原JCTで東名に合流する。距離はわずかに伸びるが、料金は変わらず、渋滞を丸ごと回避できる。
東京方面(上り)は難易度が高いが、状況によっては綾瀬スマートICまで下道を使ったり、茅ヶ崎JCTから新湘南バイパス、横浜新道、第三京浜を経由する「止まらないルート」を選ぶのも一案だ。
まとめ|なぜ海老名ジャンクションはこれほど混むのか
海老名ジャンクションが混むのは、怠慢や放置の結果ではない。過去の前提、交通量予測の限界、そして後から拡張できない立地条件が重なった結果である。
現在、東名高速の拡幅や周辺バイパス整備といった大規模な“手術”は進行中だ。ただし完成までにはまだ時間がかかる。
それまでの間は、交通情報を早めに確認し、新東名ルートなどを柔軟に選ぶことが、渋滞ストレスを減らす最大の武器になる。
知っているかどうか——それだけで、海老名JCTの通過体験は大きく変わる。
よくある質問(FAQ)|海老名ジャンクションの渋滞
Q1. 海老名ジャンクションはなぜ左車線だけ特に混むのですか?
A. 東名高速へ行くためには左車線に入る必要があり、ドライバーが早めに左へ集中するためです。さらに、厚木PA・圏央厚木IC・海老名ICと合流ポイントが連続していることで、左車線の流れが悪化しやすくなっています。
Q2. 海老名JCTは設計ミスだったのでしょうか?
A. 設計当時(1990年代)は現在ほどの交通量や物流需要が想定されておらず、当時の前提条件では合理的な設計でした。結果的に需要が予測を大きく上回ったことが、現在の渋滞につながっています。
Q3. 渋滞は今後解消されますか?
A. 完全解消は難しいものの、東名高速の付加車線設置(2029年度予定)や新バイパスの整備により、渋滞が緩和される可能性は高いと考えられています。
Q4. 今すぐできる一番有効な回避策は何ですか?
A. 名古屋方面へ向かう場合は、新東名を経由するルートが最も効果的です。料金を変えずに渋滞区間を回避でき、精神的な負担も大きく減らせます。
