二輪免許「一本橋」どんな方でも7秒以上乗れる方法

実は難しい「低速バランス」

なかなか難しい二輪免許試験。


普通に走るだけなら良いのですが、スラロームやS字・クランクなど、一般道にはなさそうな教習コース独自の課題はなかなか大変ですよね。

その中でも「苦手」という方が多いのが一本橋。

いわゆる「低速バランス」なのですが、初めてバイクに乗る方はもちろん経験者であっても手こずることが多く、教習時間がどんどん伸びて最悪の場合「二輪免許をあきらめる」なんてことにも。

今回はそんな一本橋の攻略方法を紹介します。

「乗れない」「落ちる」「タイムがいかない」というそれぞれの悩みごとにコツを紹介しますので、是非最後までご覧ください。



一本橋とはいったい?

一本橋とは長さ15mの橋「直線狭路台」を通過する課題です。台の幅は30センチ、高さは5センチで、入口と出口に約30センチのスロープがついています。

台の手前3mにある線で一旦停止したあと任意のタイミングで発進し台に乗ります。

台の上はできるだけゆっくり走行します。もし途中で落ちたりエンストしたり、足をついたりすると試験不合格となります。

通過時間が免許の種類によって決められており、小型二輪(普通自動二輪小型限定)は5秒以上、普通二輪は7秒以上、大型二輪は10秒以上となっています。

この通過時間に達しないときは1秒ごと5点の減点。

大型二輪免許試験で一本橋通過タイムが7.9秒だった場合は15点が減点されます。

二輪免許試験の合格基準は70点以上なので、この場合、他に不確認(10点)とふらつき(バランス)(10点)などで減点されれば試験は不合格となります。

攻略方法を3つに分けて紹介

一本橋の攻略方法を3つに分けて解説します。

ひとつ目は、台に乗るまでの過程「玄関」


ふたつ目は、台に乗った後バランスを保つまでの過程「無」


そしてみっつ目はタイムを稼ぐ「技」です。

台に「乗れない」方は「玄関」ができていません。


乗れても「落ちてしまう」方は「無」がうまくいっていません。


「タイムが出ない」方は「技」のところでひっかかっています。

この3つは前の過程ができていないと次に進めません。


なので、順番に確認していってください。

「玄関」

実はここは難易度が高い部分。

発進後すぐ短い距離で適切な運転姿勢をつくり、高さ5センチの台に乗らなければならないのです。

一本橋に乗れない方は、「発進が雑」な可能性があります。

二輪車は発進時、かなり不安定になります。(スロットルを回してクラッチをつなぎ、バイクが動き出したらそれまで車体を支えていた左足をそっとステップに載せていく。)

慣れている人には何でもない行為ですが、苦手な方はここがちゃんとできているか再確認しましょう。

コンビニの自動ドアを想像してください。

あまりにも速いスピードで接近するとドアが開かずぶつかってしまいます。

私たちはドアが開くタイミングを予想し、それに合わせて歩く速度を調節しています。

それが一本橋の入口「玄関」でうまくできていますか?

速すぎると乗った時の衝撃が「ガツン!」とスゴイ。


遅すぎるとフラフラしておちてしまう。

自分がイメージした通りの速度で台にのることができていなければ、発進のやり方を工夫することが必要です。

これは普段の発進を「ガたっ」とならないように丁寧に行うことで身につきます。


教習前のウォーミングアップ走行や、ふとした停止からの発進をより滑らかに行ってみましょう。

「わざとゆっくり発進する」のは非常に練習になります。

「玄関」でもうひとつ気を付けなければならないのは「運転姿勢」。


段差の高さはわずか5センチですが、これに乗り上げるときバランスを崩す人は多いです。

自転車でちょっとした段差に乗りあげることを想像してください。

前輪が乗った瞬間「ガツン」とハンドルに衝撃が伝わり、もしハンドルを強くつかんでいたら上半身は後ろに、バランスを崩します。

バイクは自転車とは違うので(フロントフォークで衝撃吸収)それほど衝撃は発生しませんが、まったく備えなければ身体は後傾になるでしょう。

ほんのちょっとでいいので上半身、腕のあたりで段差の衝撃を受け止めることを意識しましょう。

イメージはタオルを両手で持って3センチ持ち上げるような動き。

こんな感じに腕が「動いているんだな」ということを確認するだけで(意図的に腕を動かすより自然とそいうなる感じ)、段差の衝撃はかなり緩和されます。

大げさに体を前傾にするのはおススメしませんが、まったく段差を意識しないのもダメ。

「玄関」では発進方法と運転姿勢をちょっとだけ工夫してみましょう。

ある程度の速度を保ったまま、台の半分くらいまで行けるようになれば大丈夫です。

「無」


無事台の上に乗ることができたらバランスを保ちます。

乗れてもすぐに落ちてしまう方は、ここで一生懸命「何かしよう」としてしまいます。


ハンドルを左右に振るとか目線やニーグリップなどの運転姿勢を気にするとか・・。

しかしそれは次の「技」の段階で行うこと。その前に「無」を感じることが絶対必要です。

「無」とは台に乗った後、「意外と何もしなくてもいいんだな」という時間の存在をわかること。

ある程度のスピードで台に乗ると、バイクはフラフラせずまっすぐ進みます。


このときクラッチを全部切ってもいいです。

惰性でタイヤがゴロゴロ回っているのを感じてください。


何にもしなくても台の終わりまで行くことができるでしょう。

正直小型二輪のタイム5秒なら、これだけでクリアできてしまうと思います。

「無」の理解が必要なのは、一本橋を苦手とする方の多くが「バイクの速度が落ちるとバランスがどんどん崩れていく」ということを意識しすぎているからです。

バイクの速度が落ちると自然と「フラフラ」してきます。


更に速度が落ちるとバイクはバランスを崩して倒れます。

ですが、バイクも自転車もそうですが意外とここで粘りますよね。


一本橋に慣れている人はこのことを理解しています。

あえて時速で言うのは避けます(数値はイメージで実際とは異なります)。

速度20で走っていいるバイクがバランスを崩して倒れるのが速度1だとします。


このとき一本橋に慣れている方は速度3になっても慌てません。

速度2くらいになったら次で紹介する「技」をやろうと思っているので、そこまでは「無」です。

一本橋が苦手な方は、速度20のバイクが速度10くらいになると「もうヤバい!」と無理にバランスをとろうとし始めます。

これはまだまだ何もしなくていい速度なので、あれこれはじめてしまうと力が入って失敗につながります。

「台の上にしばらく乗っている」こと「とりあえず真ん中までは行こう」くらいをとりあえずの目標にすると良いと思います。

そして「意外と何もしなくてもいいんだな」という「無」の時間の存在がわかるといいです。

これを感じる練習方法として、どこかで停止するときわざとダラダラ減速して、足をギリギリでついてみるのを試すのもよいかもしれません(指導員に確認してくださいね)。

段差のない一本橋以外の場所がいいですね。

「技」

最期は「技」です。

台の上に乗れる。そしてしばらく「無」の時間にゴロゴロタイヤが回転するのをかんじることができる。

これができればあとは「技」を使って「規定タイム」をクリアするだけです。

特に「無」がわかれば「技」と使わなくても5秒はクリアできます。


うまくやれば7秒もいけるかもしれません。

でも大型二輪の規定タイム10秒はなかなか難しいでしょう。

バイクがゆっくりになって速度2くらいになったら「技」を使います。

このあたりは指導員さんたちがいろいろなやり方を知っていると思いますので、教えてもらいましょう。

運転姿勢や視線に注意することも必要ですが、人によってやりやすさは変わります。

あまりにもニーグリップができないとかステップから足が離れてしまうといったもの以外は、できるだけ自然にやっているままでよいでしょう。

「技」のひとつに「後輪ブレーキ引きずり」があります。

これは微妙なクラッチ操作でバイクを前に進めつつ後輪ブレーキで速度を抑える方法です。

これができれば台の上でしばらく止まっていることもできるようになります。

そしてハンドルを軽く左右に振るといったテクニックも生きるようになります。

これも広場のような場所で練習させてもらうといいですね。

タイムが出ないからといってひたすら一本橋だけを繰り返すより、5分だけこの練習をして再チャレンジしたほうが早く規定タイムに達するようになると思います。

この「技」までできるようになれば、一本橋での心配はほぼなくなるでしょう。

超大事!「玄関」「無」「技」の配分

「玄関」「無」「技」の3つの攻略方法を紹介しましたが、ここで「いちばん大切な事」に触れますね。

それはこの3つの要素の配分です。

今回は「全く一本橋にのれない」苦手な方をイメージしています。


「玄関」ができるようになってから「無」を感じ、さらに「技」でタイムを安定させる方法です。

この場合「玄関」のあとしばらく「無」の時間があり、最後の数mで「技」を出すことになります。

これで試験は十分クリアできるのですが、さらに低速バランステクニックを伸ばすことにはどうしたらよいか。

実はこの一本橋、何の苦労もせず簡単にできてしまう人もいます。

そして指導員のアドバイスをちょっと聞くだけで大型二輪の基準である10秒以上というタイムをクリアしてしまうんですね。

これらの方は「玄関」と「無」がすでにできています。

自分が思う速度で発進し適度に運転姿勢をコントロールでき、さらにバイクがゆっくりになっても全然慌てない。

最期の「技」の部分だけ指導員に教えてもらえばそれでOK。


ひたすら「技」を練習すれば30秒とか60秒とか台に乗っていられるようになるのです。

この「簡単にできてしまう」方の一本橋は「玄関」と「無」の時間が本当にわずか。


台に乗った瞬間(台に乗る前から)に「技」に入ることができるんです。

このテクニックは、免許をとった後渋滞やUターン、駐車場などで大活躍。


よくある「立ちごけ」レベルの事故を防ぐために身に着けておきたいですよね。

ですが「玄関」と「無」ができていない方はいきなり「技」を習ってもダメ。


まずは3つの段階があることを意識し、それができたら「技」の時間を増やすことが大切です。

まずは安定して台に乗り、ゴロゴロ一本橋後半までバイクを転がすまでを目指しましょう。


それに必要なのは基本的な発進と停止のテクニック。

滑らかに発進し落ち着いて停止できるようになれば自然と一本橋も楽になります。


その練習は一本橋以外でもできるので、コース内の信号や止まれは腕を磨くチャンスですね。