
この記事では、トラック運転経験ゼロの人が4トントラックを安全に運転できるようになる方法について紹介します。
「トラックを一度も運転したことがないけど運送会社に就職してしまった」という方。会社の研修でいろいろ教えてもらえると思いますが、それでも不安。
未経験だって言っているのに「あいつの運転はやばい」なんて言われたら嫌ですね。
そのため入社前に自分で4トントラックの練習をしたいと思うのですが、実はこれができる場所というのがとても少ないことが判明。
あの自動車教習所でも4トントラックの運転練習はほぼできないのです。その理由とは一体何なのでしょうか。
そして、それでも練習したい!という方には別の練習方法がないか、考えてみます。
トラックを一度も運転したことがない人が4トントラックを運転できるの?

ここまでの話で、疑問を感じた方が多いと思います。
それは「トラックを一度も運転したことがない人が4トントラックを運転できるの?」というもの。
確かに免許はどうなっているのと思いますし、あんな大きなトラックをいきなり運転するのは難しそうですよね。
ですが、実は意外とこのパターンは多いです。

まずは免許について。
例えば40代以上の方が転職してトラックに乗ろう!となったとき。
この年代の方たちは、新しくトラックの免許をとらなくても4トントラックをすぐに運転することができます。
それは運転免許証の条件欄に「中型車は中型車8tに限る」という記載があるからです。
この条件は平成19年6月1日以前に普通免許を取得した人についています。
むかしむかしの普通免許は何度かの法改正によって現在は限定付きの中型免許にグレードアップ。
この「中型8t限定免許」があれば
- 車両総重量8,000kg未満
- 最大積載量5,000kg未満
- 乗車定員10人以下
の自動車を運転することができるのです。
さらに「中型8t限定免許」を持っていて「AT車に限る」という条件が付いている人でも、クラッチ操作の無い4トントラックなら運転することができます。
現在のトラックはAT車が多いですから、困ることは無さそうです。

次に運転経験ゼロについて。
もっと若い方でも教習所で中型免許を取得したけれど、それっきりトラックに乗っていないという場合もあります。
教習所のトラックで運転練習して試験(検定)に合格してもそれは運転の許可をもらっただけ。
実際に荷物を載せてトラックを運転すると、様子が全く変わるのがわかると思います。

教習所ではトラックで高速道路も運転しないですしね。
免許取得後の運転しない時間が経てば経つほど「あんな大きなトラック、今でも運転できるかな」と不安になります。そんなとき4トントラックの運転練習をしたいと考えるものなのです。
ということで、トラックを一度も運転したことない人が4トントラックを運転するというのは「ある話」なのです。
自動車教習所では99%練習できない理由とは

こんなとき、「どこかで練習できないかな」と考えるもの。

そこで出てくるのが自動車教習所。
だいたいどの地域にもあって、運転で困ったことがあればあれこれ相談できる心強い存在です。
費用は掛かりますが、練習を申し込めば指導員さんから運転のコツを教えてもらえそうです。
自動車教習所にはいろいろなコースがあります。その中にはいわゆるペーパードライバー向けのものも。
免許は持っているけれどまるっきり運転していないとか、普段は買い物にしか車を使わないが今度高速道路を運転することになったから練習したいというようなニーズに答えるものです。
このコースを利用して4トントラックの運転練習をするというのは簡単にできそうですが、実際のところほぼ99%「できません」。
その理由は二つあります。

教習所で4トントラックの練習ができない理由のひとつ目。
それは「教習所には4トントラックがないから」です。
自動車教習所にはいろいろな車が置いてあります。トラックなら大型・中型・準中型ですね。
しかしこれらのトラックは新規免許取得者のために用意されているもの。
そのラインナップに4トントラックは入っていません。
「あれ、4トントラックで教習している様子をみたことがあるよ」という方。

それはおそらく勘違いだと思います。
一瞬4トンくらいの大きさに見える教習所のトラックですが、あれはもともと昔の大型免許の教習で使っていたトラックで、現在は中型免許用として使われています。
よく見ると最大積載量は5000キロを超え、ナンバーも大きなものがついています。
このトラックを運転するには「中型8t限定免許」ではダメ。現在は限定の無い中型免許が必要です。
これについては昔から変更は無く「4トントラックより少しだけ大きい」このトラックを運転するために、当時は大型免許取得が必要だったのです(現在は中型免許取得が必要)。
むかしむかしの普通免許で運転できた4トントラックが教習所で使われることは無く、そのため、現在でも教習所には4トントラックが置かれていないのです。
もしあるとすれば「講習用」。

使用頻度がほぼ無い車両を持つ自動車教習所は多くないでしょう。

教習所で4トントラックの練習ができない理由のふたつ目。
それは「教習所では教習と講習しかできないから」です。

自動車教習所で行われる教育は大きく分けて二つあります。
ひとつは「教習」。これは免許取得のための教育のことです。大型免許をとりたいとか牽引免許をとりたいという方に対して行われるもので、教習所のコースや車両を使います。
教習の方法については全国統一ですべて決まっており、何時限以上教習を受けるとか教習の内容はこのようにとか、試験(検定)を何回受けるなどその通りに行なわれます。
もうひとつは「講習」(運転者教育 呼び方は正確でないかもしれません)。
免許を持っている人に対し更なる安全運転ができるように教育するものです。
ペーパードライバーに対するコースなどはこれに当てはまるでしょう。
4トントラックの練習をしたいというものもこれに該当します。
内容は自由で試験(検定)もありません。

重要なのは「講習」は免許を既に持っている人に対して行われるもの。
なので中型8t限定免許を持っている人に対して4トントラックの運転の仕方を教育する講習は実施可能です。
しかし、中型8t限定免許だけしか持っていない人に対し中型車で講習をやっちゃおう!というのはできません。
なぜかというと運転できる免許を所持していないからです。
中型8t限定免許で教習所の中型車を運転するには中型免許が必要で、そのために行なわれる教育は「教習」になるからです。
先ほど紹介したように自動車教習所には4トントラックがありません。
なので、現実的に中型8t限定免許所持者に対する4トントラックでの講習はできないのです。
逆をいえば、大型免許を持っている人に対し大型トラックで講習をやる、中型免許を持っている人に対して中型トラックで講習をやるというのは全く問題ありません。
「なにそんな固いこと言っているの」「誰も入ってこない所内のコースならいいでしょ?」なんて思いますが、このあたりはなかなか厳しいです。
以前は自動車教習所のコースを使って大型二輪の試乗会などが行われていました。
普通二輪の免許しかないけれどクローズドコースだから大丈夫なんて言っていたのですが、都道府県公安委員会の判断によっては実施不可の場合も出てきました。
他の教習が行われる可能性がある時間帯に、教習でもない講習でもないトラックの練習をやるなんてのは認められないでしょう。

もちろん路上に出るなんてことはできません。
もし可能性があるとしたら自分で4トントラックを持ち込む、または教習所コースを借り切れば練習することができるかもしれません。
ですが、補助ブレーキもないトラックに乗ってくれる指導員は少ないでしょうし、そんなグレーなことをやる自動車教習所はほぼないでしょう。
逆に補助ブレーキや補助ミラーを備えた4トントラックのある自動車教習所でしたら、堂々と講習を受けることができます。
ですが、そのような施設は聞いたことがありません。
またいわゆる「非公認」の教習所では対応が変わるかもしれませんので、これを探していくことになるでしょう。
トラックを安全に運転するには会社の研修を最大限に生かす!
自動車教習所での練習が無理となれば、トラック運転経験ゼロの人が4トントラックを安全に運転できるようになるにはどうしたらよいでしょうか。
レンタカーを借りてトラック運転経験者に同乗してもらい練習する方法もアリです。
しかし費用も掛かりますし、知り合いに教えてもらうというのはゴタゴタがあると人間関係にヒビが入りがちなものです。

ということで、運送会社での研修を最大限に活用するのが良いかと思います。
たいていの場合、会社で決められた期間は先輩ドライバーに同乗し見学してから、交代して運転を見てもらうことが多いです。
道順や荷積み荷卸し手順など覚えることはたくさんありますが、その中で先輩がどのように運転しているのか「ポイントを絞って観察する」ことをやってみてください。
4トントラックの運転のコツについてはいろいろありますが、この記事ではひとつだけ紹介します。
それは右左折など「曲がり方のコツ」です。

言われるまでもなく、4トントラックは幅・長さとも普通車と比べとても大きいです。
そしてこれが大きく影響するのが「方向を変えるとき」です。
超基本的なことですが、車はまっすぐ進むときより曲がるときのほうが幅を多く必要とします。
厳密なことを言えば普通車もバイクもそうなのですが、ほとんど気にならない範囲だと思います。
ですが4トントラックくらいになるとかなり「気にしなければならないレベル」になります。
それは車の長さが長いからです。
狭い道路ですれ違う場合、曲がっている状態で行違うのは損です。
まっすぐな状態なら狭いスペースでもすれ違うことができます。
そのため、タイミングを変えて楽な場所ですれ違いましょう。
「方向を変えるとき」に注意するというのは他の場合でも当てはまります。
例として左折の場合を考えてみます。
自分の道路が狭く曲がる先の道路が広い場合、曲がった後のスペースを有効に使うようにトラックを誘導します。
自分の道路は広いが曲がる先の道路が狭い場合は、曲がる前にスペースを確保します。
これは道路交通法に従ったやり方とちょっと違うように感じるかもしれませんが(あらかじめできるだけ寄せるなのでできる範囲でという解釈をする)、そうしないと曲がれない構造の道路はたくさんあります。
4トントラックもオーバーハングが発生しますので、隣のレーンに車がいた場合は先に行かすとか待ってもらうなど曲がるタイミングを変える必要があります。
同じようなことは積み込み・卸先でもよくあり、「ここに入れちゃって」なんて倉庫の人に言われたからと何も考えずに入れると危険です。
「方向をかえるとき」は広いスペースが必要となるので、他の車や建物、置いてある荷物などの配置をよく見て気を使って車を誘導しなければなりません。

右左折も駐車も毎回状況が変わるので、そのたびに方法を考える必要があります。
これを面倒だな・・と思ってしまうと危険です。
そういうことをしなければならない乗り物だ!と割り切ることが必要です。
そして大事なのは「どうにもならないとき」があり、これを見極めなければならないこと。
道路があまりにも狭すぎて無理とか、隣の車がいなくならないと曲がれないとか「今は無理」とあきらめの判断ができることがとても大事です。
そのような判断を先輩がするときが必ずあるので、研修中はそこに注目するのが良いと思います。